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「そんなに驚くことないだろ。」
後ろにいたのは青木。
青木とは、あの合コン以来話していなかった。
「あんた、いつからいたの?」
「はぁ?おまえが入ってくる前からいたし。電気ついてただろ?」
「………。そうだった?」
「おまえなぁ…。」
青木はため息をつきながら、額に手をあてた。
私はぼーっとしすぎて、本当に何も覚えていなかった。
資料室に入ってファイルを戻すこと以外は、別のことで頭がいっぱいすぎて。
「ボケッとしすぎじゃねーの?おまえらしくない。」
「私らしいって何?私だって、ぼーっとすることくらいあるわ。」
床に落ちた資料を拾う。
早く棚に閉まって、出ていきたかった。
今は特に、青木と顔を合わせていたくない。
「何急いでんだ?」
「早く仕事に戻りたいだけ。」
逃げるように、資料を出ていこうとした。
でも、あいつがそれを許すはずがなかった。
青木は私の腕を掴み、私を壁に押しつけた。
「何で逃げる?」
「逃げるんじゃなくて、仕事に戻るの!やらなきゃいけないことが沢山あるのよ。」
「俺がおまえの嘘を見抜けないと思うか?」
「………。」
青木の顔が近づいてきて、私は避けるように顔をそらした。
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