LIFE 10

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酷いヤツ…。 私だって、相沢部長を利用したのに。 あの人の優しさに、甘えたのに…。 私はその場に座り込み、泣きそうになるのを必死で堪えた。 少し落ち着いてから、ゆっくり歩いてオフィスに戻った。 なかなか戻ってこなかった私を、湖穂が心配していた。 「先輩、大丈夫ですか?随分席離れてましたし、顔色も良くないですよ。」 「大丈夫よ。ごめんね、心配かけちゃって。」 今は、仕事中。 余計なことは考えるな。 集中、集中。 目を閉じて自分に言い聞かせ、深呼吸をして目を開いた。 そして仕事にかかろうとしたとき…。 「小谷さん、いいですか。」 声をかけられ、キーボードを打とうとした手を止める。 見上げると、越山君が立っていた。 「どうかした?」 「これなんですけど、数字が全然違うんですが。」 あっ! 一桁間違えてる。 それだけじゃなく、数字を入れる場所が1マスずれてるんだ…。 こんなミス、何で…。 そう言えば、見直ししてなかったかも。 じゃあ、これ以外のも間違えてる可能性がある。 「ごめんなさいっ!こんな初歩的なミス。すぐに直すから。」 私は座ったまま深く頭を下げた。
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