LIFE 10

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「いや、そんなに頭下げなくても…。」 私の行動に驚く越山君。 いや、オフィスにいた人みんなが私を見ていただろう。 だけど私はそんなことすら気づかず、前髪を掻き上げパソコンに向かった。 「こんなミス、あり得ない…。」 「春香先輩、本当に大丈夫ですか?」 「えぇ、大丈夫よ。」 湖穂の心配すら、適当に返してしまう。 もう、自分のことしか見えてなかった。 急いでパソコンから、ミスのあったデータを引き出す。 「どうしたんだ?」 私と越山君のやり取りを見た三島部長がやって来た。 「あの…、ちょっとしたミスがあって。」 「私のミスを越山君が見つけてくれたんです。新人でもやらないような初歩的なミス…。私の集中力が欠けていました。」 立ち上がり、頭を下げようとした。 「すいませ……。」 ガタンッ 立ち上がった瞬間、目の前が真っ白になった。 そして体が崩れ落ちていく。 その時、頭を軽く机にぶつけてしまった。 「小谷っ!」 「小谷さんっ!」 「先輩っ!」 オフィスがざわつく。 三島部長が私の体を支える。 越山君はしゃがんで私の顔を覗きこむ。 湖穂も椅子から降り、私のもとに駆け寄ってくれた。
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