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「これで飲みなさい。」
「すいません。ありがとうございます。」
私はペットボトルを開け、薬を飲んだ。
そして残った薬を、三島部長に渡そうとした。
「持って帰って、夜も飲むといい。さ、飲んだら少し寝なさい。少ししたら、荷物を持ってくるから。」
そう言われて、ベッドに横になった。
目を閉じた私を確認して、三島部長は医務室をあとにした。
私はゆっくり目を開けて、天井を見た。
優しくされると、頼ってしまいそうになる。
自分勝手で、弱い自分。
私は5年前のことを、ゆっくりと思い出した。
あれは青木と別れたばかりの頃。
自分から別れを切り出したのに、その後すぐに別の女と付き合い始めたことにショックを受けていた。
私は待っていたのかもしれない。
やり直そうって行ってくれるのを。
あまりにあっさりした別れを、自分の中で消化出来ずにいた。
ここ最近の私のように、心ここに在らずな状態で仕事をしてしまった。
そして、そのときは大きなミスをしてしまった。
別の職場の部長さんが来て、オフィスの真ん中で怒鳴られた。
顔を真っ赤にして怒る部長さん。
今でも言われたことを覚えているほど、キツいことを沢山言われた。
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