見えない壁

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「もしかしたら、俺は、昔生き別れたお前の親友で、奇跡的に再会しているのかもしれない」  急にそんな事を言い出すものだから、僕は目をしばたかせる。  親友? 生き別れ? 自分の身内?  一通り情報を整理した後、僕は自嘲気味に「それはあり得ないね」と微笑み、口を開く。穏やかに。 ――壁に親友は作れないよ。  やはりか。案の定。沈黙が場を支配する。また、自分から沈黙を破るのもいいが、今回ばかりは彼に委ねてみた。 「そうか、つまり、この俺の目の前にそびえ立つ壁。これをやっとの思いで乗り越えても、もう一枚壁があるだけだということか」
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