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「あんた、奇跡のどれくらい？」
アンタ、キセキノドレクライ？
「は？」
あまりにも「質問の理解に苦しむ」という意味での難問に、僕は思わずすっとんきょうな声を上げてしまう。
「どれくらい、て」
「質問が悪かった」
悪いのはお前の日本語能力だ、と喉元まで出かがったが、飲み込んで押さえ込む。
僕の目の前には、壁がそびえ立っていた。空から垂直に降ってきたかのように、天に向かって真っ直ぐ伸びている。
「ここから先は死んでも通さないぞ」とでも言わんばかりの威圧感さえ感じた。
珪藻土を使用した、ザラザラした感触の日本の伝統的な和壁である。
「お前にとって、どこからどこまでの有無現象を奇跡って言える？ 定義、かな。それを教えてくれ」
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