見えない壁

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「凡庸の中の凡庸の奥底に眠る凡庸界のミスター凡庸って所だな。おまけにセンスもない。ネットで『奇跡 凡庸』と調べたら始めに出てきそうな事柄だな」 「誉めてるの? 貶(け)なしてるの?」 「自分で考えろ」  急に冷たい答えが帰ってきたせいか、ついムッとしてしまう。 「いいか? あんたにゃ足りねえ。足りてないね。現代人のカルシウム並みに足りてない。想像力が。お前は、人生ゲームについて勝敗の結果論だけ述べるアホと同じだ。全体、上辺だけの奇跡にしか目がいってねえ。過程を楽しんでこそ人生ゲームだろ」 「貶してるんだね」  おっと失礼、失言失言。あっけからんと彼が口走る。どう聞いても悪意しか感じられない。 「そこまでに、様々な奇跡が起こってる事に目をつけなきゃいけない」 「というと?」 「先ずは、そのチームが後攻だった事が奇跡だ。先行じゃ勝ち越ししか出来ないからな」  あ、そこからですか? そうですか。そこからですか。  人生ゲームなら、コマの色を決めてる段階の話からですか。
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