~ability of Saori~

2/12
前へ
/223ページ
次へ
「クレイル、前!!」  その方向を見ると、茶髪の少女を背負った蒼髪の青年が、人とは思えぬ速度でコッチに向かってくるところであった。  サオリの身体能力なら、難なく避けられるはずなのだが。 (お、美少女に美少年、これはフラグ発生ですか?フフフフ)  と、無駄な思考に入ってしまい、青年を避けようともしない。  直後、一瞬だけ向かってくる彼の蒼い眼と目が合い、直後青年とサオリは激突した。  常人であれば体ごと吹き飛ばされそうな衝撃に、サオリは難なく耐えてみせる。  そのまま青年を抱きとめ、助けることも可能ではあったのだが。 (ちょっと悪戯しちゃおう)  という決定の末、青年に押し倒されてみることに。  ついでに、自分の豊かな胸に青年の顔と手を埋めてみた。  小悪魔的な笑みを浮べると、サオリの背中は地面に触れた。 「いたたた」  わざとらしく呟くサオリ。  その悪戯な呟きに青年は反応し、彼女の胸の上でピクッと動く。  そして立ち上がろうと、力を込めてくる。  サオリが仕掛けた罠にまんまとかかる青年。  不本意ではあろうが、彼はサオリの胸を揉み始めた。  何だかわからず、それが何かたしかめるような手つき。  彼が、今自分が手にしているモノに予想が付いてきたらしく、体の動きが止まる。  そこへ、サオリは追い討ちを掛けるべく、妙に艶っぽい声で言う。
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!

189人が本棚に入れています
本棚に追加