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それに気付いた彼女は、少し不機嫌な表情で引き止める。
「む、そんなに邪険にしないでほしいなぁ、お姉さん悲しい」
言い当てられたのがそんなに意外だったのか、青年の体がビクッと震えた。
そして少しおびえ気味に青年は言う。
「えっと、僕ら急いでるもので」
一刻も早く逃げ出したい、といった表情の彼にサオリは。
「いいじゃん、いいじゃんお姉さんともうちょっと、ね!!」
「ね!!じゃないですよ!!」
と、ここで初めて青年が自分の意見を主張した。
それで目が覚めたのか、サオリは申し訳なさそうに肩をすくめ、素直に諦めた。
「仕方ないなぁ~、じゃあ少年とぶつかって落ちちゃった私のラノベ拾ってくれるだけでいいや」
『ま、まぁそれくらいは』と呟くと、青年はその本の内容に仰天したようで。
そこでサオリはニヤリ、と笑うとそこで一言。
「気になるなら、少年に一冊プレゼント!!」
「いりません!!」
通りに青年の怒声が響き渡った。
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