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サオリは苦笑すると。
「『五番戦鬼が』って言えば、なんの問題もないぞ?」
渋りながらも、作業員はキーボードを操作し始めた。
程なくして、モニターのルナヴィスの地図と、ある人物のドアップ映像とが入れ換わった。
美しい、女性であった。
最初に目に飛び込むのは、長い金色。
それは自らが光を放っているように輝いており、その長い髪は画面からは見えないが、腰あたりまで伸びているだろう。
さらに、髪に合わせたのか、肩を大きく露出させたデザインの金色のドレスが特徴的である。
が、異様なものがあるのも確かで、彼女の右目には十字架をあしらった眼帯が付けられていた。
あらゆる人を魅了する美を有した女性は、口を開く。
『久しぶりだなサオリ』
顔に比例して、その声はとても透き通っていた。
周りの作業員が顔を赤らめているほどである。
彼女が対人外組織『埋葬機関』の創設者、『クオリフィア=トゥルートーカー』。
つまり、機関の最高責任者なわけであるが……そんな彼女にも物怖じしないのがサオリである。
まるで親友と話すかのような軽い口調で返す。
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