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声の主は黒髪の短髪で、小麦に焼けた肌、どこをとっても活発なイメージを持たせる容姿をしている。
服装も活発さアピールか、裾の短めなタンクトップに、ホットパンツという非常に露出の多い格好だ。
しかも出ている所は出ているため、彼女は全体的に妖艶な雰囲気が漂わせている。
そんな彼女の名は『サオリ』、それ以外の名前は名乗らないので誰も知らない。
サオリは、『ロウレニス探偵事務所』と書かれた扉を思い切り開けて入っていく。
中にいるのは茶髪で黒スーツの青年と、紅い髪と瞳を持った少女である。
「さ、サオリさん!?」
入ってきたサオリに驚く茶髪の青年。
彼は『ロウレニス=レンフィールド』、私立探偵である。
探偵とはいっても、依頼はペットの依頼しか来ないらしいので、そう呼べるかは疑問だが。
「おぉ~紅子も久しぶり~」
そういって紅い髪の少女、『ランステッド=シェル=アルナカルタ』へと突撃していく。
ランステッドは顔をしかめると、サオリに手をかざして言う。
「いい加減に近づかないでっていうのがわからないのかな!?」
瞬間、彼女の白くて細い腕から、紅い閃光が迸る。
それは『紅い雷』、自然界にはありえぬ美しい紅である。
『ランステッド=シェル=アルナカルタ』、人外の一族『昏きもの』、吸血鬼だ。
吸血鬼といっても、伝説に伝わるものは当てはまらない。
日中プールで遊び、その帰りに十字架のアクセサリを購入したり、にんにく料理を食べる事だってできる。
杭を心臓を打たれる、これは適用されるが心臓を貫かれれば、どんな生物だって命を失う。
そう、彼等は人とあまり変わらないのだ。
長寿で、『能力(チカラ)』を持ち、血を吸う以外は、だが。
このランステッドの能力は『紅い雷』というわけである。
雷はサオリの腹部に直撃するが、あまりダメージはないようで、彼女の動きを数秒止めるだけで留まった。
「紅子~、もうつれないんだからぁ」
雷を放ったランステッドは危険を察知してロウレニスの後ろへと隠れてしまった。
ロウレニスは苦笑すると、サオリにたずねた。
「今日はどうしたんですか?」
「ん、少年、米をくれ」
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