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「紅子肌ピチピチ~」
「やめてって!!言ってるの分からないのかな」
ランステッドから紅い雷が迸るが、サオリには通じないらしく頬ずりは止まる気配を見せない。
止まるどころか、激化する頬ずりについに強気のランステッドが折れる。
「ロウ、助けて……お嫁にいけなくなる」
「はぁ……」
最終的に、ロウレニスが炒飯をサオリにご馳走する形で話は固まった。
彼がその日の昼食を食べられなかったのは、言うまでもないだろう。
十分後……
「ごちそうさま~!!美味かったぞッ少年」
「やっぱりロウの料理は美味しいね」
二人の声を聞き、ロウレニスは泣きながら『お粗末様でした』と返した。
「さってと、飯もご馳走になったし、お暇しましょうか」
サオリは背伸びすると、座っていたソファから立ち上がる。
「んじゃまた来るわ」
「もう来ないで欲しいかも……」
と一番の、被害者のランステッド。
「来てもいいですけど……もうご馳走できませんからね?」
と涙目になって言うロウレニス。
「フフフ、ではさらばだ少年少女よ~」
そう言ってサオリは事務所を跡にした。
背後で獅子の如き腹の音が響いたが、気にはならなかった。
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