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~ability of Saori~
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「ふぅ、本屋で時間食いすぎちゃった」
両手いっぱいに古本屋で購入した、『30%オフのライトノベル』が入った紙袋を持ちながら、サオリは大通りを歩いていた。
望みのものが購入できたらしく、彼女の足取りは軽い。
そんな彼女を通り過ぎる人達は思わず振り返ってしまう。
周りまで笑顔にするような、そんな顔に皆みとれているようだ。
自意識過剰とまではいかないが、彼女の場合欠如もしていない。
自分は綺麗だ、というくらいの認識はある。
だからこそ、振り返った者には手を振ったりウィンクしたりしている。
(ん?コッチ左折)
無駄のない動きで路地裏へと入っていく。
『目的地』への近道であるらしい。
優雅に路地裏を歩き、ゴミを漁る野良猫と戯れているうち、暗い路地から抜ける。
その瞬間、小鳥のような綺麗な少女の声が、サオリの耳に入ってきた。
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