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相手が悪かったと励ます友達はたくさんいた。
けど、どんな励ましよりも彼の一言が強烈で立つ直ることが出来なかった。
確かに身だしなみもこれといって気にしたことないし。
性格だって明るく優しいわけでもないし。
顔なんてはっきりいって可愛くないし。
スタイルだって幼児体型だし。
センスだって別にいいわけじゃないし。
認めてあげないといけない本人が一番卑屈に自分を否定する悪循環。
そのうち、私のこの状態に友達も徐々に減っていった。
今思い返しても、あの頃の私はどんどん底だ。
くっそう、私の中学時代真っ暗だ。
だから、引っ越しが決まった時もこれといって悲しかったわけでは無い。
むしろ、新しいスタートだと思うと少しホッとした。
こうやってスーパーシンキングタイムを過ごしていると必ずと言っていいほど窓をノックする音が聞こえる。
私は当たり前のようにカーテンを開けるとニヤッと笑った見慣れた笑顔。
『あ・け・ろ』
口パクでそういう彼の指示通り私は窓を開ける。
「うっす、またジメジメタイム?」
彼は少し困ったような心配するような顔でこちらの部屋にひょいっと入ってくる。
「賢ちゃんには何でもお見通しだなぁ、本当。」
ついホッとしたような顔になっているのを自分自身感じる。
賢ちゃん、横の家に住む生まれたころからの幼馴染。
未だに私が悩んでいると窓からひょいっと入ってきて明るくしてくれる。
まさに神様だ、いやそれは言い過ぎか。
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