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「美華、引っ越すんだろ?ってことは俺がもうこうやって助けてやることも出来なくなるんだ。」
「うん、心配だなぁ。自分自身が。」
私は困ったように笑うと賢ちゃんはいつもちょっと哀しそうな顔をする。
そういう顔にさせたいんじゃない。
とっさに私は無理やりに明るい話題に切り替える。
相変わらずわざとらしいな、全く。
「あっ、そういえばね、私高校デビューしようと思うんだ。」
「・・・ハッ?!」
呆れ顔の賢ちゃんと、それをごまかす笑顔の私。
うん、いい勝負してると思う。
「こっちではB級だったから、あっちではA級になろうとおもって。」
えへへ、と誤魔化し笑いを付け加えるが賢ちゃんは変わらず呆れ顔。
「キラキラピカピカになってイケメンの彼氏と沢山の友達作るから!だから心配しないでね賢ちゃん!」
「あのなぁ・・・」
「応援してくれるよね?」
否定の言葉を聞きたくなくて、私は言葉を重ねる。
昔からの悪い癖だ。賢ちゃんもやれやれって顔してるもん。
「お前が決めたなら、頑張ればいいと思う。」
何だかんだ背中を押して応援してくれるのを知っている私は、彼にだけはどうしても甘えたになってしまう。
これが世にいう小悪魔ってのだろうか、いや分からんけど。
「ありがと、賢ちゃん。あと2週間ほどよろしくね」
そういうと私は思いっきりの笑顔でしめくくる。
異論は認めないって意味を込めているのは二人の暗黙のルールだ。
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