仮面恋愛達人

１．見ざる聞かざる忘れ去る

その後は昔の思い出話だとか最近合った話だとか、本当に他愛もない会話。
そんなこんなで賢ちゃんとサヨナラして私は本棚からたくさんの雑誌を取り出す。

激モテ新学期デビュー
男子が選んだコーデトップ30
イメチェン、春のゆるふわヘアスタイル
モテモテ美レッスン
胸キュン自分革命

どの雑誌の表紙にも、高校デビューにはもってこいの誘い文句が載っている。
まずは見た目から変わることを決めた。
一番手っ取り早くわかりやすい。

気になるページにどんどん付箋を貼る。
雑誌の中を見てると少し夢と希望が膨らんだ。

「まずは、洋服を買いにいかないと。」

使うことなく貯められたお小遣いをやっと使う時が来た。
私は買うと決めた服をメモをして明日に備えた。

翌朝、雑誌の髪型を見よう見まねでセットし持っている一番おしゃれな服を着た。
普段から買い物に行っていない私は、あまりの自分の服のダサさに早くも意気消沈しそうだ。

いやいや、変わるために買い物に行くんだ。大丈夫。
メンタルが豆腐レベルの自分を励まし、オシャレなファッションビルへと足を運んだ。