1.見ざる聞かざる忘れ去る

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「いらっしゃいませ~。何かお探しですか~?」 独特のイントネーションをしたキラキラしたお姉さんが現れた。 早くもテンパりつつある。やはり、オシャレスポットは難易度が高い。 「あの、こういう服が買いたいんですけど・・・。」 あからさまに逃げ腰の私。今ならスラ●ムにだってやられそうだ。 そんな様子を見てお姉さんは優しくにっこりと笑う。 「今流行ってますからね~。ちょっと待っててね~。」 そういうと、商品のあると思われる場所へとすたすたと歩いていく。 こんなたくさんある中からとっさに場所が思い浮かぶあたりがプロだなと勝手に関心。 「イメージしてるのはこんなのですかね~?」 手に持っているのはまさにそれだ。私は勢いよく頷く。 「よかった~。大きなお世話かもしれないけど、私はその服にはこれ合わせたいなって思ってるの~。まぁ、店員にいわれたら押し売りのように感じると思うけどね~。」 イントネーションはどうしても気にせずにはいられないが、確かによく合う。 というかとっても可愛い!欲しい! 「すっごく可愛いです!両方ください!」 「はい。ありがとうございます~。」 お姉さんはにっこりと笑いレジへどうぞと告げた。 お会計を済ませると、またどうぞと入り口までお見送りをしてくれた。 商売柄というのもあるがやっぱり最後までキラキラしている。 あれがA級か、と心の中でほんのりと目標を決める。 その後も、目的の品を買うために色々な店を廻りあっという間に一日を費やした。 慣れない場所で慣れないことをしたため、心身ともにくたくただ。
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