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ー『恐怖』に駆られた人間に、滅ぼされてしまう程ー
望んで得たわけでもない、『特殊な力』を持って生まれた為に。
蔑まれ、疎まれ、恐れられ、滅ぼされた。こんな理不尽なことがあっていいのか?
藤堂
「なんで、そんな………。そんな酷いことって!こいつらは、何もしてないんだろ?!何も悪くないのに、なんでッ?」
藤堂の瞳から、涙が零れた。純粋が故の優しさを持つ彼は、凛の境遇が哀れでならなかった。
滅ぼされるほどのことを、したわけでもないのに、何故、そんな仕打ちを受けねばならぬのか。
鴉
「こちらが聞きたいくらいです。あの『大災厄』から、『言霊遣い』のお陰で、生き長らえた人間どもがッ!だから、私は『人間』と言う、生き物は嫌いなんですよ。」
鴉の言葉に、引っ掛かりを覚えた土方が、『まさか』と思いつつ、問い掛けた。
土方
「あ~、まるで、お前が『人間』じゃねえみたいな………。」
鴉
「私は通り名を名乗っただけで、『人間』だと言った覚えはありません。私は『妖(アヤカシ)』。七代前の当主様から、仕えております。」
至極、当然とでも言いたげな、鴉の態度。凛が何も“言わなければ”、この不遜な態度を改めようとも思わないらしい。
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