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永倉
「『大災厄』って、何だ?そんな、とんでもないことが起きたなんて、聞いたことないぜ。」
今まで、黙って話を聞いていた永倉が、口を挟んだ。
鴉
「当然でしょう?先代様、つまり、姫の御祖母様ですが。先代様の命と引き換えに、『大災厄』は退けられたのですから。」
ー鴉の話では、『御堂家』とは、平安の頃より代々、人の世に起こる『災厄』から、人々を護り続けてきたのだと言う。
人里離れた山奥に、結界を張った隠れ里を築き、歴史の影に生きてきた。
『御堂家』は、そんな『言霊遣い』達が住む隠れ里の、領主的な立場だったらしい。
有事の際こそ、重用される『言霊遣い』だが、『災厄』が回避されれば、お払い箱だ。
ーそして、あの日。何故か、結界が破られ、『言霊遣い』の隠れ里は、滅ぼされた。
たった一人、『御堂家 次期当主』である凛だけを遺して………。
藤堂
「何だよ、それ?そんなの、酷すぎるじゃん!助けて貰っておきながらっ………。」
沖田
「正に、『恩を仇で返す』って?最低にも、程がありません?」
沖田は相変わらず、笑顔だが、その笑顔は明らかな『嫌悪』に歪んでいた。
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