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ー壬生浪士組屯所 一室ー
ゆっくりと意識が覚醒してゆく。起き上がった凛は、二、三度軽く頭を振った。
壁に寄り掛かるように座り、眠る従者。だが、頭上には見慣れぬ天井。
凛
(そう言えば、浪士組の方に、助けて頂いたのだった。)
そっと、目を閉じれば浮かぶのは、全てを失う予感の記憶。
朱い記憶ーその中に響く、優しかった母の声。
嵐
『貴女の声は封じられる。貴女が本当に必要とする時まで………。生きなさい、凛。貴女が貴女の“運命”に出逢う時が、必ず来るから………』
凛
(私の“運命”………。『言霊遣い』として?それとも、『御堂 凛』個人としての?)
ー凛が思考に耽り始めた時、聞き慣れた声が、割って入った。
鴉
「ん?あ、おはようございます、姫。既にお目覚めだったのですね。」
ーバタバタバタッ
藤堂
「お~い、凛~。起きてるか、入るぞ~。」
永倉
「待て、平助。まだ、寝てるかも知れないだろ?返事があってから………。」
原田
「何、言ってんだよ、新八。あの子、喋れないじゃん。どうせ、あいつが代わりに、返事するだろ?」
朝っぱらから騒がしい、通称『三馬鹿』。別名、『筋肉脳部隊』。
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