ー 行き倒れの二人 ー

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ー『薩英戦争』が始まった、7月。暑い夏到来中。 俺は、何とも、面倒な事に巻き込まれたらしい。 ー巡察から帰ったら、屯所の門前に、一組の男女が倒れているではないか? 黒髪の男 「こんな、昼日中から、屯所の門前で、相対死(アイタイジ)にか?」 長身の男 「ええ?………や、コレ、二人共、生きてるじゃん。取り敢えず、中に運ぶぞ。」 明らさまに、眉をしかめる黒髪の男に、長身の男は、呆れたような声を上げた。 すると、男の方を担ぎ、女の方を、黒髪の男に任せた。 黒髪の男 「待て、永倉。副長の指示も仰がぬまま、素性のわからん者を、容易く屯所の中に………」 永倉 「………斎藤。お前、どんだけ、土方さんが好きなワケ?んなコト言ったって、このまんまにしとけねーだろ? 熱中症やら、脱水症状で死なれてみろ。寝覚めが悪くてしょうがねーっての!」 永倉と呼ばれた男は、口こそ悪いものの、人道的な男らしい。 未だ、渋面を浮かべる斎藤と呼ばれた男も、屯所の門前で、人死にを出すのも憚られたのか、仕方なく、女を担ぎ上げ、屯所の中へと入って行った………。
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