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そう、高らかに宣言する、人の好い局長、近藤。
すると、今まで目を閉じて黙っていた土方が、口を開いた。
土方
「だからって、何も好き好んで、厄介事に首突っ込むこたぁ、ねえだろう?
大体、芹沢らが何て言うか?」
その言葉に、土方と沖田以外の全員が、ハッとなった。
沖田
「大丈夫じゃないですか?男の方はともかく、女子なら、嫌とは言わないでしょう?あの人なら。」
至極、尤もな意見だ。
確かに、『女好き』の芹沢ならば、滅多に否やはないだろう。
永倉
「馬鹿言うなよ、総司。助けた手前、芹沢さんの毒牙に掛けるわけにゃあ、いかねえんだよ。」
すると、静かに襖が開いて、山南と井上が入って来た。
山南
「二人とも、気付いたようですよ?ただ………。」
山南は、痛々しげに眉を寄せると、言い淀む。井上が、それを察し、言葉を継いだ。
井上
「女子の方は、どうやら喋れないらしい。よっぽど、怖い目に遭ったのかねぇ。」
山南
「どうします?どちらにしても、事情を聞かねばなりません。連れて来ましょうか?」
近藤
「うむ。男の方は喋れるのだろう?すまんが、連れてきてくれないか?」
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