ー 行き倒れの二人 ー

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近藤の言葉に頷き、ふたりは来た道を戻って行った。 永倉 「そっか………。あの子、喋れないのか………。」 沈んだ表情で、呟く永倉。助けた手前、二人のことを、一番気に掛けているのだろう。 本音を言えば、あの二人を、まだ休ませてやりたかった。声を失うほどの目に遭ったのなら………。 山南 「失礼します、連れて来ましたよ。さ、入って。」 スッと襖が開き、あの二人が姿を現した。 先程は、全く気付かなかったが、二人共、不思議な雰囲気を纏っていた。 少女は、市松人形の如き容貌をしている。 前髪は眉の上、横と後ろは腰の上で切り揃えられた黒髪と、黒玻璃のような瞳。白い肌に赤い唇。 年の頃は、十六、七。 男の方は、高い位置で結われた金色掛かった茶髪に、褐色の肌、翠玉の瞳を持つ、精悍な顔付きをした青年だった。 年の頃は、恐らく、沖田と同じくらいだろうか。 改めて見ると、二人共、そうそういない容貌だ。 ーそして、恐らくは、二人共『一般人』では有り得  ないだろうー 少女は、まるで『この世のものではない』ような、神秘的な気配を纏っている。
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