186人が本棚に入れています
本棚に追加
永倉
「アンタ、その“姫さん”の言ってるコト、わかるのか?」
すると、青年は『心外だ』と言わんばかりに、ムッとして答えた。
青年
「当然だ。そうでなくば、私が、姫の従者でいられるわけがない。」
彼女の声無き言葉がわからなければ、従者とは言えないのだ、と言う。
近藤
「おほん!では、改めて。私の名は、『近藤 勇』だ。君たちの名を、教えてはくれないだろうか?」
腰を低くして、近藤は再度、問い掛けた。青年は、ひとつ溜息を吐くと、口を開いた。
青年
「この方は、『御堂家』の末姫で、最高のお力を有する言霊遣い、凛様。私は、姫の従者で、鴉(カラス)。勿論、『真名』ではないが、我等は主以外には『真名』を告げぬのが、掟だ。」
山南
「『御堂家の末姫』と仰いましたね?では、彼女は『御堂家 次期当主』の凛殿ですか?」
今まで黙っていた山南が、驚きの声を上げた。
土方
「山南さん?あんた、何か知ってんのか?」
山南
「『御堂家』とは、平安の頃より代々続く、言霊遣いの家系。言霊遣いは、言葉を具現化する、人智を超えた『力』を持っていると、何かの文献で、読んだ記憶があります。」
最初のコメントを投稿しよう!