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質の悪いことに、千尋はもう十年来真剣に愛を語っている。
幼稚園児の戯言に苦笑いをしていた昔は良かった。
何せ小さいし微笑ましいといえば微笑ましかったから。
俺の彼女にキャンキャン吠え、下らない悪戯をしかけて別れさせるのも、まあまだ苦笑いで許せる範囲だったのだ。
だが、成長し高校生になってまで愛を語る千尋は、苦笑いじゃすまなくなっている。
そう、遅ればせながら俺は、このままでは一生千尋に付き纏われるのではないかということに、気付いたのだ。
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