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手錠をはずして、崩折れた華奢な肢体を抱きとめ、高見沢は恋夜を後ろ手に縛った。
手首だけじゃなく、体にもぐるぐると太いロープを巻きつけ、きつく縛りあげた。
さらに、大きな布でさるぐつわを噛ませ、縛られた少年の体を無造作にベッドに放り投げた。
「朝まで我慢できたら、ご褒美をやろう」
ベッドの側に椅子を持ってきて座り、高見沢は熱く光る瞳で恋夜をみつめた。
背中の傷にロープがきつく食い込み、恋夜は耐え切れずに身をよじった。
だが、いくらもがいてもますますきつく、傷口にロープが食い込むばかりだ。
「……うっ……ううっ……!」
きつく眉を寄せ、いやいやをするようにかぶりをふって、恋夜はくぐもった声で呻いた。
さるぐつわを噛まされているので、ひどく息苦しい。
高見沢のことだ。
わざと通気性の悪い布を選んだに違いない。
「……ううっ……ううっ……!」
ロープが傷に食い込む痛みと、ろくに息ができない苦しさに、ほっそりした肢体をのたうたせて身悶えながら、恋夜はまた無数に舞う白い薔薇の幻を見ていた…………
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