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雪の降る気配に、恋夜はふっと意識を取り戻した。
いつのまにか気を失っていたらしい。
瞼越しに乳白色の光を感じてそっと目を開くと、高見沢がひどく優しい瞳でこちらを見ていた。
「……やはり、おまえは最高だ。最高のペットだよ、恋夜。ご褒美をやろう」
眼差しと同じぐらい優しい声で言って、高見沢はいとおしそうに恋夜の髪を撫でた。
しどけなくベッドに横たわったまま視線を巡らすと、カーテンが開けられた窓から、仄白く光る空が見えた。
薄曇りの曖昧な天候の中で、花びらのような雪がちらちら舞っている。
苦痛と恥辱に満ちた長い夜が明けると、ほんのひとときだけ、高見沢は信じられないほど優しくなるのだった。
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