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「……っ!」
碧の目が、大きく見開かれる。
鋭く息を呑んで凍りついたその表情は、しかし、仲間に逢えた喜びなど微塵もなく、憎悪と侮蔑が色濃く滲んでいた。
当然予期していた反応だったし、何より恋夜は慣れていた。
あからさまな嫌悪と侮蔑を、恋夜は平然と受けとめた。
誰に嫌われたっていい。
妖樹にさえ、嫌われなければ。
「あれ?嬉しくないの?仲間に逢えて……」
碧の気持ちを知りつつ、恋夜はわざとらしく意外そうな表情を作り、小首をかしげてみせた。
「……おまえ……何者だ……?」
喉の奥から絞り出すように、碧が恋夜を睨みつけて言った。
握りしめた拳が、小刻みに震えている。
「言ったじゃない、お仲間だって。僕は碧と同族だよ。僕と碧の中には、同じ血が流れてる」
「やめろっ!!俺は、おまえらなんかの仲間じゃないっ!!俺の父がたまたま……」
「そう、たまたまクレイジー・ブルーの女性と愛しあっただけ。有名な話だよね。僕らの間じゃ、語り草になっている」
碧の心の嵐を煽るように、恋夜はあくまで軽い調子で言った。
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