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「警察署の前で殴りあう?いいよ、そうしても。でも、そんなことしたら、碧まで留置所行きだね。僕はすぐ出れるからいいけどさ。警察に顔がきくから」
「くっ……!」
きつく唇を噛みしめて、碧はいまいまし気に恋夜を睨んだ。
「どうする?僕らの仲間になる?」
「誰がっ!」
碧は、言下に拒否した。
「あの男は?」
「あいつも同じだ。おまえらの仲間になんかならない。死んでもな」
「ふうん。いいけどね、別に。出れないよ、彼、ずっと、留置所から。免許証までニセモノだったんだもん。そうだよね。僕らには、こっちに住民票なんてないもんね」
「おまえの手を借りなくても、この件は俺が何とかする」
きつい瞳で恋夜を一瞥し、碧は話は終わったというように、恋夜の脇をすり抜けた。
碧に背を向けたまま、恋夜は言った。
「いいの?長引けば、碧の評価がさがるんじゃない?紅薔薇の王に見限られたりして」
一瞬、ぴくりと足をとめたが、碧はふり向かずにそのまま歩いていった。
恋夜も、反対の方向に歩き出した。
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