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「じゃあ、これからは琴音もこっちにいるの?」
地面に視線を落としたまま、恋夜は暗い気分で訊いた。
できれば、否定してほしい。
だが、琴音はにこやかに頷いた。
「ええ。当分は僕もこちらの世界にいて、奴を追います。……というか、だいぶ前から来ていたんですけどね、こちらの世界に。恋夜がどんな様子でいるか報告しろと、妖樹様に命じられて……。一度、妖樹様に報告するために《ブラック・デス・バレー》に戻って、それからまたこちらに来ました」
「僕のこと、妖樹になんて言ったのさ?」
嫌な予感がして、恋夜は顔をあげた。
ひどく嬉しそうな琴音の笑顔が、目の前にあった。
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