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「恋夜が男娼の真似事をしてるって、妖樹様に申しあげました」
「ダンショウ?」
初めて聞く言葉に、恋夜はキョトンと小首をかしげて、無防備に琴音を見あげた。
「男娼も知らないんですか。体を売る男の子のことですよ。恋夜みたいにね」
「っ!」
あまりの侮辱に、恋夜は息を呑み、かすかに唇をわななかせた。
咄嗟には返す言葉が出てこない。
「恋夜は毎晩、あの男に抱かれているのでしょう?いろんな方法で痛ぶられた後でね。恋夜にそんな趣味があるなんて知りませんでしたよ。いやらしい子ですね、恋夜は」
意地悪く細めた目で、琴音は恋夜を見降ろした。
「違う!!僕はそんなんじゃない!!僕……僕、体を売ってなんか……!」
細い肩を震わせて、恋夜はやっとのことで声を絞り出した。
自分がそんな汚れた人間だなんて、妖樹に思われたくなかった。
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