第1章

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大勢の信棒者に崇められ、惜しみない賛辞を浴びて渇望されることが、自分の心に開いた深い穴をいくらか埋めることを、恋夜はこちらの世界に来て初めて知った。 この小さなバーで働いているのも、情報収集のためもあるけれど、それ以上に、夜ごとくり返されるさざ波のような小さな快感が心地よく恋夜を包んでくれるからだった。 恋夜がこのバーで働き始めてから客は7割増し……七つあるカウンター席は、連日、入れ替わり立ち替わり客で埋まっていた。 年齢層はまちまちだったが全員が男性客……しかし、それも恋夜は気にならなかった。 別に体を売るわけじゃない。 自分に小さな快感を与えてくれるなら、相手の性別などどうでもよかった。
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