第3章

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「……ヤットミツケタ……対等ニ渡リアエル相手……」 長い腕を無造作にふって、結空斗はメスを地面に投げ捨てた。 トスッとかすかな音がして、メスが地面に突き刺さる。 結空斗が、右手を高くと掲げた。 掌から蒼い閃光が迸る。 一瞬後には、抜き身の長剣が、結空斗の手に握られていた。 「……殺ス……敵……」 半円を描くように切っ先を徐々に降ろしながら、結空斗が唸った。 恋夜も、油断なく剣をかまえた。 しかし。 突然、恋夜に背を向けて、結空斗はダッと駆け出した。 呆気にとられてその後ろ姿を見送り、恋夜はあわてて後を追った。
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