第3章

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だしぬけに、結空斗が地を蹴った。 殺気に孕んだ銀光が、真っ向から恋夜を襲う。 キィン! 横薙ぎに剣を払って受け流しざま、恋夜は相手の懐深くに身を躍らせた。 その剣が、目にもとまらぬ速さで閃く。 キィン! 重い手応えとともに斬撃が弾き返され、恋夜の剣先が上を向いた瞬間、白刃が唸りをあげて胸もとに迫った。 恋夜は、敏捷に跳びすさった。 その華奢な体を追うように、結空斗も跳躍していた。 恋夜の踵が地に着くよりも、二人が刃を交える方が早かった。
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