M.C.3rd

1/1
前へ
/6ページ
次へ

M.C.3rd

午前10時を少し過ぎた頃、俺は何かの物音で眠りから覚めた。 教室でも寝ていたからだろうか…。 普段は給食時にしか起きないのだが…。 流石にすぐにはもう眠れないので、ベッドを抜け出した。 室内を見回してみたが…、九条先生はまだ帰って来てないらしい。 ふと…、室内の変化に気付いた。 ホワイトボードに大きく文字が書かれている。 来た時には真っ白だった筈だ…。 先生が戻って来て書いたのだろうか? 内容はただ一言…,“視聴覚室”。 どういう意味なのか…、業務関係のメモか、俺への伝言…? 俺はその文字を眺めながら考え…、結局、視聴覚室へ行く事にした。 もし伝言なら無視するわけにはいかないし、 九条先生が居なければ引き返せばいいだけだ。 俺は保健室を扉を開け、廊下に出た。 視聴覚室は4階の左奥なので、左側の階段から昇って行く事にする。 当たり前だが、校内は閑散としている。 時間的には2限目の途中なので、生徒はおろか、教師の姿もない…。 もっとも,授業をサボっているので、教師が居ないのは好都合だが…。 俺は4階に辿り着き、足音を殺して壁に張り付いて覗き込んだ。 もしも違う教師が居たら面倒だからだ。 九条先生が居なければ尚、面倒臭い。 だがそこに、九条は居なかった。 居たのは見知らぬ女生徒が1人…。 だが…、様子がおかしい…。 いや…、“様子がおかしい”なんて抽象的な表現…、してる場合では…。 俺は飛び出し、その女生徒に駆け寄る。 何の反応もない…、当たり前だ…!! 倒れているのだ…、うつ伏せで…。 …なので顔は分からないが、尋常ではない事態という事は分かる…。 何故なら…、その女生徒の背中から…、 刃物の柄らしき物が見えていて…、血が…,辺りに血が溜まって…、 「うぅ…!!うぁああ……!!」 俺は…、想像を絶する光景に…、叫び声すら口から出てこない…!! 目を覆いたくなる…!! 体の震えが止まらない…!! その光景が脳に鮮烈に焼き付いて…、 「キャアアアアーーーーー!!」 後ろから叫び声が聞こえ、振り向いた。 俺のすぐ後ろに、九条先生が居た…。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加