1人が本棚に入れています
本棚に追加
M.C.1st
6月6日、午前6時…。
夢見が悪く、いつもより早く目が覚めた。
内容までは覚えてないが、妙に気分が優れない…。
しかも、二度寝をするには中途半端な時間だった…。
俺は眠い目を擦りながら、制服に着替え自分の部屋を出た。
「おはよう真実,今日は随分早いのね?」
「あぁ…、いつもギリギリだからな。
ちょっと心を入れ替えて。」
お袋が不思議そうな顔で、俺を見ている。
「どうしたの?何かあったの?」
…夢見が悪くて起きたなんて、恥ずかしくて言えやしない。
「昨日,お袋が話しただろ?日々を惰性で生きるなって。」
俺がそう言うと、お袋は顔を綻ばせ…、
「それじゃあ,今日から頑張ってね。」
と、満面の笑みで嬉しそうに言った。
…自分で言い出した手前、仕方が無いので早目に家を出た。
「どうしたの!?何かあったの!?」
午前7時…、校門前。
愛衣が俺に駆け寄って、そう聞いてきた。
「何かって,何も無いけど…?」
「嘘…,じゃあ何でこんなに早いの?」
…本当に、特に理由は無いのだが。
「あの~…、桜庭会長?遊んでないで戻ってくれません?」
後ろから見ていた役員の女子が、愛衣に向かってそう言った。
「あ…,ごめんなさい…。」
生徒会の後輩だろうか…、恩に着ます。
愛衣は俺を睨みながら、渋々生徒会の列に戻って行った。
その視線が痛かったので、俺はそのまま校舎の中へ入って行く。
校内には殆ど生徒は居なかった。
運動場から朝練の声が、3階の廊下にまで聞こえていた。
教室の前に着くと扉越しに談笑が漏れてきた。
朝の早いの生真面目な優等生達が話しているのだろう。
…俺が教室の扉を開くと、そいつ等が一斉に俺の方を見た。
その表情はまるで…、
“え!?ツチノコって実在するの!?”
…と、でも言いたそうな顔をしている。
「…何か文句あるのか?」
俺が不機嫌そうにそう言うと、全員が慌てて目を逸らした。
全く…、失礼なクラスメート共だ。
俺はそのまま席に着き、机に突っ伏した。
俺は不良で…、クラスでは嫌われ者だ。
起きていれば、他の奴らに気を使わせる。
教室の外に出るのも億劫なので、そのまま狸寝入りする事にした。
その間…、ひそひそと聞こえてくる俺への悪口は聞こえない振りをしておく。
最初のコメントを投稿しよう!