0人が本棚に入れています
本棚に追加
C.I.2nd
午後5時、自宅。
以下は、ノートの現在の内容だ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3年1組,東雲夏帆(シノノメカホ)
刃物で背中を刺され,死亡した。
凶器は家庭科室の包丁。
犯行現場は,4階の視聴覚室前。
この為,外部犯の可能性は低い。
東雲は2限目,10時11分に退室。
犯行はこれ以降から発見時まで。
正確には10時11分から28分の間。
10時,保健室のホワイトボードに,
“視聴覚室”の文字を発見。
それに従って4階へ上がると,
視聴覚室前にて東雲の遺体を発見。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「新たに分かった事は…、
犯行時刻と凶器…、これだけか…。」
俺はノートを見ながら呟いた。
「後は真実の悪口くらいなものだよ。」
情報量的には少し厳しいが…、ここから推理していくしかない。
「先に言っとくけど…、
頭を使うのは専門外なので。」
…希望には初めから期待してない。
経過だけは知らせたかったので、念の為に呼んだだけだ…。
「視聴覚室って書いた人が、
本当の犯人って事だよね…?」
「そうなるだろうな…。
そしてそいつは間違いなく、
俺が保健室に居る事を知っていた。」
俺に疑いが掛かるように…。
「計画的犯行って事になるのかな?」
「家庭科室から包丁を持ち出している。
間違いなく…、計画的だな。」
もし犯人が東雲を呼び出したのなら、携帯に履歴が残っている可能性も…。
…いや、そこは誰にだって思い至れる。
なら犯人も、手を打っている筈…。
「他に何か気が付く事はないか?」
「…う~ん、何とも…、希望は?」
愛衣が希望に聞いたのだが…、肝心の希望は目を点にして、放心状態。
「もう!!少しは希望も考えてよ!!」
「希望に期待すると馬鹿を見るぞ?」
俺がそう言うと、希望が不機嫌そうに…、
「俺は説明すらされてないんだから、
そんなにすぐ思い付く訳ないだろ?」
…愛衣にも説明はしていない。
「ここに書いてある事が全てだ。
何か思い付く事は無いか?
どんな下らない事でも構わない。」
…希望が腕組みをして唸りだした。
「噂って怖いな…、って思う。」
「真面目に考えてる…?」
愛衣の表情が怖い…。
「いや、だってよ?これ事件の事が、
ほぼ全部噂で流れてるじゃん…?
どこで、いつ、どうやってとか…、
誰が…、の所は違うけどよ…?
だから、噂って怖いな~って。」
最初のコメントを投稿しよう!