C.I.2nd

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C.I.2nd

午後5時、自宅。 以下は、ノートの現在の内容だ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3年1組,東雲夏帆(シノノメカホ) 刃物で背中を刺され,死亡した。 凶器は家庭科室の包丁。 犯行現場は,4階の視聴覚室前。 この為,外部犯の可能性は低い。 東雲は2限目,10時11分に退室。 犯行はこれ以降から発見時まで。 正確には10時11分から28分の間。 10時,保健室のホワイトボードに, “視聴覚室”の文字を発見。 それに従って4階へ上がると, 視聴覚室前にて東雲の遺体を発見。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「新たに分かった事は…、  犯行時刻と凶器…、これだけか…。」 俺はノートを見ながら呟いた。 「後は真実の悪口くらいなものだよ。」 情報量的には少し厳しいが…、ここから推理していくしかない。 「先に言っとくけど…、  頭を使うのは専門外なので。」 …希望には初めから期待してない。 経過だけは知らせたかったので、念の為に呼んだだけだ…。 「視聴覚室って書いた人が、  本当の犯人って事だよね…?」 「そうなるだろうな…。  そしてそいつは間違いなく、  俺が保健室に居る事を知っていた。」 俺に疑いが掛かるように…。 「計画的犯行って事になるのかな?」 「家庭科室から包丁を持ち出している。  間違いなく…、計画的だな。」 もし犯人が東雲を呼び出したのなら、携帯に履歴が残っている可能性も…。 …いや、そこは誰にだって思い至れる。 なら犯人も、手を打っている筈…。 「他に何か気が付く事はないか?」 「…う~ん、何とも…、希望は?」 愛衣が希望に聞いたのだが…、肝心の希望は目を点にして、放心状態。 「もう!!少しは希望も考えてよ!!」 「希望に期待すると馬鹿を見るぞ?」 俺がそう言うと、希望が不機嫌そうに…、 「俺は説明すらされてないんだから、  そんなにすぐ思い付く訳ないだろ?」 …愛衣にも説明はしていない。 「ここに書いてある事が全てだ。  何か思い付く事は無いか?  どんな下らない事でも構わない。」 …希望が腕組みをして唸りだした。 「噂って怖いな…、って思う。」 「真面目に考えてる…?」 愛衣の表情が怖い…。 「いや、だってよ?これ事件の事が、  ほぼ全部噂で流れてるじゃん…?  どこで、いつ、どうやってとか…、  誰が…、の所は違うけどよ…?  だから、噂って怖いな~って。」
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