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C.I.4th
6月12日、午前10時、保健室。
「非常に不愉快です。」
「非常に心苦しく思っている。」
まずは、九条先生に話を聞く事にした。
ナナちゃん先生は担任なので連絡先も知っている。
いつでも話を聞く事が出来るからだ。
「…それで、何が聞きたいの?
私はどうすれば潔白を証明出来る?」
「ホワイトボードの書き込みが、
いつからあったか…、知ってるか?」
「あなたが来た時は無かった。
…と言うより、私はその書き込み自体、
見てもいないし、知らないわ。」
「警察には聞かれなかったか?」
「聞かれたけど…、何の事だか…。」
警察の捜査が杜撰なのか…?
それとも、重要な事ではないのか…。
「次に、東雲の事について聞きたい。」
「えっ…?彼女も容疑者なの?」
…容疑者なのは俺だ。
というより、東雲は被害者だろ…。
「あぁ…、3年生の東雲さんね…。」
「…他学年にも東雲って居るのか?」
「1年1組の東雲七海(ななみ)でしょ?
ついさっきまで、ここに居たから。」
…まぁ、関係ないか。
「それで…、殺された方の東雲、
どんな奴だったか、教えてくれ。」
「そんな言い方、感心しないわね…。
…まぁ、普通の子だったわよ?
どちらかと言えば、真面目な方。」
「誰かに恨まれてるとか…、
そういう話は無かったか?」
「それは警察にも聞かれたけど、
あの子に限って…、って所ね。」
…これは意外な答えだった。
事件に巻き込まれるような生徒だ。
俺と同類の奴かと思っていたが…。
「じゃあ最後の質問…、
あんたは何で4階に来たんだ?」
「…あなたの後を付けたのよ。
保健室から出るのが見えたから、
ちゃんと教室戻るかどうか気になって。」
「それは…、証明出来るか?」
「あなたが4階に辿り着いた時…、
壁に張り付いてるのは見たわ。
何かコソコソしてたでしょう?」
…そうだ、他の教師が居ないか、俺は壁際から覗き込んでいた。
「これで…、私は潔白かしら?」
「…取り敢えず、白に近い灰色だな。」
その時点で、東雲は既に死んでいた。
死後のアリバイなど、意味は無い。
「まぁ…、仕方がないわね…。」
俺は立ち上がって、扉に手を掛けた。
「そうそう、言い忘れてたが、
さっきまでの会話、全部録音したから。」
「抜け目も可愛気も無くなったわね…。」
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