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C.I.Last
午後8時…。
俺は、愛衣と2人で喫茶店に来ていた。
ナナちゃん先生と会う約束をしたからだ。
愛衣は俺を心配して付いて来てくれたのだ。
一応、あいつの体裁の為…、店内の離れた場所に待機させている。
約束の時間の10分前…、ナナちゃん先生は店内に入って来た。
「ナナちゃん先生、こっちだ。」
俺の姿を見付けると、先生は微笑みながら近付いて来た。
「早かったんだね、真実君。
その真面目さを勉強に向けたら?」
「そんな話をしている暇はない。
まず、先生に聞きたい事がある。」
愛衣を付き合わせているので、あまり遅くなる訳にはいかない。
俺は単刀直入に、事件の話を聞く。
「東雲が殺された時、先生はどこに?」
「…職員室に居たね。」
「それを証明出来るか?」
「…その時は私しか居なくてね。
残念ながら、証明は無理かな…。」
…意外にあっさり答えてくれるな。
「次、警察に聞かれた事を教えてくれ。」
「…あなたが聞いた事と同じ。
事件当時のアリバイと…、
あとは真実君の事を少しね…。」
「事件の事,どれくらい知ってる?」
「…被害者、犯行時刻、凶器、現場、
第1発見者、それくらいかな…?」
…噂で流れていた全てを知っている、か。
「先生と東雲は、何か接点があったか?」
「…教師と生徒、それ以外では何も。」
「東雲の事は知っていたのか?」
「…音楽教師は学校に私1人だからね。
授業で顔を合わせた事はあるよ。」
この答えは予想していたが…、何か違和感がある気がする…。
この質問に対する返答にではなく、ナナちゃん先生の対応が…。
「…私からも質問していいかな?」
…時間的に少し厳しいのだが、無理に呼び出したのは俺の方なのだ。
一応、俺も礼を尽くすべきだろうな…。
「…あぁ、何でも聞いてくれ。」
珈琲を飲みながら、そう答えた。
「…何でもいいの?それじゃあ…、
真実君、生徒会長の好きでしょ?」
「ブッ…!!ゲホッゲホッ!!
…先生!!急に何を言い出すんだ!?」
愛衣が聞き耳立ててるというのに…!!
「桜庭さん、近くに居るんでしょ?
遅くまで連れ回したら駄目だよ?」
そう言って、先生は席を立ち、レジで会計を済ませて帰っていった。
「気付いてたのか…。」
何なんだろうか、この違和感は…。
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