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C.I.1st
6月9日、午後1時、昼休み。
事件から2日が過ぎた。
俺は愛衣と2人で体育館裏に来ていた。
「泣くなよ…、俺が虐めたみたいだろ?」
「…間違ってないでしょう?」
愛衣が泣きながら反論してきた。
…愛衣は、既に噂を集めてくれていた。
仕入れた情報を1人で整理していて、耐えきれずに泣き出した様だ。
「絶対…、犯人捕まえようね?
この苦労を水の泡にしない為に…。」
「あぁ…、そうだな。」
とは言ったものの…、役に立ちそうな情報は殆ど無い。
短時間で集めてくれた物なので、仕方が無いと言えばそうなのだが…。
「大半は俺が東雲を殺した動機か…,
よくもまぁ…、こんな事思いつく。」
売れない作家にでもなってろ、屑共…。
これは…、どうなのだろうか?
「愛衣…、この凶器の話は?」
「えっ…?あぁ…,ここだね。
…家庭科室の包丁だって噂だよ。」
「…何でそんな事分かるんだ?」
「さぁ…、けどこの噂を聞いた生徒が、
家庭科室を見に行ったら、
1本だけ新品になってたらしいよ?」
そこから噂が広まったのか…?
いや…、噂の確認で気付いたのなら、
それ以前から流れていた筈…。
まぁ、家庭科室の包丁には、柄の部分に黒いマジックで、“家庭科室”と書いてあった筈だ。
九条先生の叫び声で顔を覗かせた生徒が、それに気付いた可能性もある。
恐らく…、警察が凶器を回収したので、新たに包丁を用意したのだろう。
取り敢えず、凶器は包丁で決まりだ。
同時に、外部犯の可能性が低くなった。
これは、俺にとっては大きな一歩だ。
学校の人間だけでも大変なのに、外の人間までは流石に手に負えない。
「愛衣…、もう少しだけ、頼めるか?」
「…私にしか頼めないんでしょう?」
溜め息混じりに、そう返された。
「本当に…、済まないと思ってる。
だから、無理はしなくていい。」
「生徒会長が警察の真似事なんて、
バレたら大変な事になりそう…。」
耳が痛い…、今度何か奢ります…。
「それで…、どれくらい必要なの?」
「この際…、贅沢は言わない。
ギリギリまで情報を集めて、
午後5時に、俺の家に来てくれ。
あと、希望も呼んでおくから。」
その後、愛衣は1人で教室へ戻った。
俺は噂の真偽の確認の為に、家庭科室に向かう事にした。
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