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「私は樹利に癒されるの。
樹利の他愛もない一言にすごく救われたり、がんばれたりする。
でも樹利は私だけじゃなく、他の人のことも癒してると思うな」
「俺はどう見ても『癒し系』には属さないと思うけどな」
「癒し系というより、導いてくれるっていうのか」
「そんな大層な……。
俺なんて隠し子未遂の男だぞ。そんな男に導かれてもだろ?」
露骨に眉をひそめてそう言う樹利に、可愛は吹き出した。
「……ねっ、パリス君のことが嘘だって分かる前、樹利はどうやってその事実を私に伝えるつもりだったの?」
「俺の頭の中の予定では、パリスに父親だってことを伝えて、今まで放っておいたことを謝って、その後、二泊三日で日本に帰国して、可愛のところに行って謝ろうと思ってたよ」
「……相変わらず、具体的な行動プランだね」
「ああ、そんな感じで覚悟を決めて、色々今後の行動を決めたから、嘘だって聞いた時は、本当に気が抜けて、本気で腰抜かしたよ。腰抜かしたのって人生初だった」
サラリとそう告げる樹利に、可愛はアハハと笑った。
「そうだよね、気も抜けちゃうよね」
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