第八章 『告  白』

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『へえ、パリス、お前ミドルネームはアンジュ(天使)っていうんだな』 微笑みながらそう告げた樹利に、パリスは笑顔で頷いた。 『うん、ママがね、僕はママの天使だからって、この名前をつけてくれたんだ』 『天使……素敵な名前ね』 可愛は柔らかく目を細めた。 『で……ええと樹利さんの奥さん?』 改めて尋ねたパリスに、樹利は『ああ』と頷いた。 『可愛って言うんだ』 『ウイ?返事みたいな名前だね』 目を開いてそう言ったパリスに、可愛と樹利は顔を見合わせクスクスと笑った。 『そうだね、フランス語でイエスのことをウイっていうものね』 『思えば、それもいい名前だよな』 三人が笑い合っていると、ミシェルが『あら』と歩み寄ってきた。
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