第八章 『告  白』

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『いいんだよ、ママ。 僕は撮影を見るのが楽しいから。将来の勉強になるし』 そう言うパリスに、可愛は『将来?』と小首を傾げ、 『あ、そうか……デザイナーになりたいのよね』 と納得したように頷いた。 『はい、そしていつか樹利さんに教えてもらいに日本にも行きたいです』 そう言って目を輝かせるパリスに、可愛は微笑んだ。 『私達はいつでも待っているわ、パリス君』 可愛はそう言って『そうだ』とバッグから個人用の名刺を取り出した。 『これ、私のメールアドレスなの。お手紙感覚でメールちょうだいね』 『ありがとう、可愛さん』 パリスはそう言ってギュッと抱き着いてきた。 幼い腕に愛らしさを感じ、可愛は優しく目を細めた。 その後、広場でしばしパリスと戯れ、時間が押し迫って来たので、二人はパリスとミシェルに別れを告げその場を離れた。
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