第八章 『告  白』

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「うん、なんか久々に泣いたよ。しかも結局、一睡もしてないな」 そう言って苦笑した樹利に、可愛も「うん」と頷いた。 「そうだね、結局寝なかったね」 リオンは複雑な表情を浮かべつつ、頬を赤らめた。 「な、泣くほど別れを惜しみながら、一睡もせずに愛し合うってどれだけ情熱的な夫婦ですか。 ハッキリ言って横で聞いてるこっちが恥ずかしいですよ」 「いや、そんなっ、一晩中愛し合ってたなんて、そんなんじゃなくて、ただ、お喋りをしててね……」 慌てて声を上げる可愛に、樹利は「でも」と腕を組んだ。 「お喋りだけじゃ……」 「もーっ、樹利は黙って!」 そんな二人の様子に、皆は声を上げて笑った。
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