インスタントセックス

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 2  由美には拓也が開いた合同コンパで出会った。拓也は高校生の時にできた友人で、俺が社会人になっても遊んだり連絡を取り合ったりしている、数少ない友人だった。小柄な奴で、顔はそこそこ良い。背さえあれば、もっとモテただろう。  合同コンパの男子組は大学生の拓也と、拓也の友人で俺とは接点のない幸一という、まあまあな顔をした全身ユニクロの奴だった。  女子は由美っていう可愛いが目の周りがアヴリル・ラヴィーンみたいに化粧で黒い金髪の女と、小麦色の肌の茶髪で馬鹿そうな顔をした美紀と、アホみたいに大きい黒縁眼鏡をかけた沙耶っていう、俺にしたら少々外れな女たちだった。  話しているとわかるのだが、由美は自分の事を話そうとしない。過去の事を訊かれても、はぐらかす。人の話に相槌を打つだけである。対照的なのが美紀で、どうしても話を自分中心に持っていこうとする。とにかく自己アピールが強く、自分の話をしている時は目を輝かせるが、他人の話になると一気にテンションを下げる。表情や目がどうでもいいよ、とでも言いたげになり、「へえ」や「ああ」とか「うん」しか言わなくなる。
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