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沙耶はまあ、その二人に比べたら特徴のない、普通の女の子だった。自分に特徴がないから、大きい黒縁眼鏡なんかをかけてるのかもしれない。黒縁眼鏡がなかったら、別れて三分で顔を忘れていると思う。
「で、私ってえ、家が超複雑なの。ママが二回も再婚しててえ、一回目の再婚相手なんか最悪だった。そん時、ウチ中一だったんだけど、ウチの身体を舐め回すように見るわけ。そんで、もっと酷かったのが、ウチのパンツの匂いを嗅いでたの」
美紀が、ペラペラと喋っていた。幸一さんがかなり食いついていて、「それで、どうなったの」と尋ねた。すると美紀は嬉しそうに、「ママに言ってやったよ。そしたらママ怒っちゃってえ、別れちゃった」と言った。由美は相槌を打ち、沙耶はしきりにカクテルをちびちびと飲んでいた。拓也は沙耶に、「酒は苦手?」と尋ねた。
「そんな事ないです。拓也くんは?」
「俺は酒強いよ。この前俺の誕生日会があったんだけど、ビールを六本飲んでから、一人で芋焼酎を一本開けちゃったからね」
「へえ、凄いんですねえ」
「まあ、次の日はかなりきつかったけどね」
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