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「ただいま、アリア。大好きなぱぱでちゅよー。ルイーザ、ただいま。愛してるよ。」
こっぱずかしいセリフを昼間っから堂々と言ってのけるマリクには驚きを禁じ得ない。この男には恥じらいというものはないのだろうか?あぁ、そうか。日本人じゃないから平気なのか。わずか0.1秒の間に自分はその結論に至った。
立ち上がって手についた泥を払いながら奥さんが近づいてきた。その後を娘さんがちょろちょろとついてくる。かわいい。目線がつい娘さんのことを追ってしまう。
「こんにちは、ヴァリアーノさん。おかえりなさい、マリクさん。」
「こんにちは。」
条件反射で返事はしたが、目線はマリクの足にしがみつく娘に向いたままだ。
隣からわざとらしい咳ばらいが聞こえてきた。振り返ると物凄い形相をしたマリクが睨んでいた。
「クラウド、俺のアリアが可愛いのは十二分に理解できるが、お前にはやらんぞ。アリアは俺と結婚すると三日前に言っていた。将来は俺と結婚することが決まっている。」
「おっさん頭大丈夫か?」
つい本音がポロリと漏れてしまった。マリクの発言に奥さんは「あらあら、マリクさんたら本気にしちゃって。」なんて言って笑っているが、横から突き刺さる視線は冗談じゃないことを如実に物語っている。
「クラウド、今、俺のことをおっさんと言ったな。後で覚悟しておけよ。」
けらけらと奥さんは笑っているが、マリクは絶対に本気だ。
「ルイーザ、昼はもう食べたか?」
「はい、先ほど。マリクさんはまだのようですね。何かお作りします。ご希望は?」
「何でもいい。クラウドの分の良いか?」
「もちろんです。お買い物もありがとうございます。」
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