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「ぱぁぱさみしい?アリアいるよ?」
「アリアがクラウドとばっかり一緒にいるからパパ寂しいなー。」
ちらっちらっといった感じで娘さんを見るその動作が何とも言い難い。
「マリクさん、そろそろできますのでお早めにお願いいたしますね。」
ルイーザさんの声にはぁと大きく息を吐くと
「アリアはパパのこと嫌いなんだー。そっか、そっかー。もういいよ。パパもアリアのこと嫌いになっちゃおー。」
なんてぼそぼそと呟きながらジャガイモの籠の前にある跳上げ戸から地下室へ降りて行った。
「ぱぱアリアのこときらい?」
自分のことをちょっぴりうるんだ瞳で見上げる娘さんはものすごくかわいい。お持ち帰りしたいくらいだ。この子にあのおっさ…マリクさんの血が流れているというのが信じられないくらいだ。見た目はルイーザさん似だが、髪の色と目の色はしっかりとマリクの遺伝子を継いでいるようだし、マリクの子で間違いはないのだろうけれども、どうにも腑に落ちない。とりあえず、娘さんの問いに答えようと口を開いた。
「そうだね。きっとだいっきら…。」
「大好きだ。パパはアリアのこと大好きだからな!」
自分が言い終わる前に戻ってきたマリクが自分を羽交い絞めにして口をふさぐ。さりげなく鼻もつまんでくれて、全く息ができない。
「クラウドー。俺のかわいくてかわいくてかわいくてかわいくてかわいくて両目に入れても痛くないアリアちゃんになんてことを言おうとしたのかな?」
「マリクは君のこと大っ嫌いだよって。」
多分聞こえないだろうが、さっき言おうとしたことをもごもごと口を動かし、紡いだ。
「うん?なーに言ってるか全く聞こえないなぁ。」
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