始まり

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 満面の笑みでそう叫ぶと自分に抱きついてきた。 「もうアリア、お兄ちゃんの邪魔しないの。お兄ちゃんご飯食べれないでしょ?」  ルイーザさんの言葉にアリアが顔を上げる。 「アリアいい子にしてるの。」  どうやら自分の膝の上がお気に召したらしい。自分に抱きつくアリアはほっておいて、用意された料理を見る。マカロニの半分くらいの長さの細く、黒い麺の上に色々な具材が乗っている。肉みそ、大葉、ねぎ、錦糸卵、小さな赤い実。鶯神楽の実に似ているがそれよりももっと小さい。半分もないくらいの大きさだ。 「あー、アリアの好きな赤いの!クラウド、ちょーだい?」  初めて見る赤い実をスプーンですくってアリアの口に運ぶ。ありがとうと言って喜んで口に入れた。両手で頬を押さえおいしさを全身で表現している。  自分も恐る恐る口に入れた。ぷちっとした触感に、じゅわっと溢れる果汁はとても甘くて、アリアじゃないがこれは病み付きになりそうだ。 「甘っ。」 「ロウもいいが、ヌパを食べろヌパを。ルイーザの手作りだ。」 「ヌパ?」  ヌパもロウも初めて聞く名前だ。ロウはあの赤い実のことだろうが、ヌパとはこの麺のことか? 「そばの実を挽いて粉にしたものをお湯で練った麺のことだ。」  この麺のことであっていたらしい。麺をスプーンで食べるというのは斬新な気がするが、ここでは普通のことなのだろう。皿の中を見つめるアリアにロウを与えながら自分はヌパを食べる。  ふんふんと鼻歌交じりにマリクがピッチャーの中身を注ぐ。 「クラウドも入れるか?」 「何を?」
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