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「お前が倒れてからまだ1日と経っちゃいねーよ。大事とって休んどけ。」
自分の頭をぽんぽんと撫でてくる。
「自分…。」
男に反論しようとして声を出して驚いた。自分の声じゃない。そういえば、目線の位置もいつもより高い。
「どうした、クラウド。」
「違う。」
「何も違わないだろう。」
「自分の名前はクラウドじゃない。」
「わかってるよ。クラウドは愛称だ。クラウディオ、クラウディオ・ヴァリアーノだろう。クラウドの発音とは多少違うのはわかってるが、お前の訛りは独特だ。真似しづらい。」
その男は得意げに名前を告げるが自分にそんな名前の心当たりはない。どこの国出身者だ、そんな名前を持つ人間は。
「違う。自分の名は、黒崎奏だ。」
脳内ではツッコミが炸裂していたが冷静を装って自分の名を述べる。
「何言ってんだよ。クロサキ・カナデなんて変な名前だな。クラウド、お前頭イッちまったんじゃないか?部下の木刀があたった位で脳に障害起こしてたんじゃ王立騎士団の分隊長なんてやってけないぞ?」
「騎士?自分が?」
「おいおい、マジかよ。…ちょっと2人で話し合おうか。」
言うが早いが男に自分の肩を掴まれ、今出てきたばかりの部屋に逆戻りした。
ダンベルの転がっていたリビングに行き、直接床に座り込む。
「クラウド、お前、自分の名前ぐらいわかるよな。」
「黒崎奏。」
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